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水沢当間沢地区  瀬下 雪絵

現役隊員のストーリーを、インタビューをもとに紹介いたします!

(投稿は、隊員の個性が出るようにしており、文体が統一されておりませんがご了承ください)


リゾートホテル「ベルナティオ」や当間山を有する水沢・当間沢地区で活躍する瀬下雪絵さんにインタビューしました。協力隊になったことは、まさに”新たな人生の幕開け”。少し長文になりますが、瀬下さんの生き方そのものと、”地域密着型”協力隊の在り方にも注目して頂きたいです!


瀬下 雪絵
瀬下 雪絵

神奈川県横浜市出身 神奈川県相模原市から移住

メーカーの海外事業部を経て、30歳からリノベーション専門の建築士に。

ハウスメーカーのリフォーム会社から仲間と一緒に独立、新たな会社を立ち上げ運営。

高齢の母を生まれ故郷の新潟で過ごさせてあげたいとの想いと

人生の見直しをする!と決め、移住を決断。

2023年4月~地域おこし協力隊として水沢地域当間沢地区に着任。

現在は、趣味の登山や、地域の人たちと立ち上げた[あてまざわプロジェクト]など、

交流をテーマに活動。日々楽しみながら念願の田舎暮らしを満喫している。



Q.協力隊になったきっかけをおしえてください

 直接のきっかけは、認知症の母と、一緒に暮らしてくれている姉とがダブル鬱になったこと。当時はコロナ禍で母も外出できなくて認知症がひどくなり、「生まれ故郷に帰りたい」が母の口癖になっていたんですよね。それに、自分も建築仕事を30年近く続けて、もう都会の建物のリノベーション仕事はやりきった感もあって…。田舎の古い建物を次世代に繋げることに自分のスキルを活かしたいと思ったんですよ。

 でも一番は、やっぱり”高齢の母を生まれ故郷(魚沼)で過ごさせてあげたい”って想いかな。自分もコロナ禍で毎日出社をしなくてよくなって、そんな時シェアハウスのサブスクを知り“これは利用できる!”と。 で、約1年半かけて日本中を見てまわって。そして十日町のシェアハウスを利用したときに協力隊OBの方と知り合ったんです。魚沼に近くて登山や自然を楽しめる十日町に「移住しようかな」って言ったら、「協力隊があるよ」って教えてもらったんだけど、協力隊って若い人がやるものだと思っていたから何も知らなくて。でも、移住するには人脈も大事になる。それに何か新しいことにチャレンジしたかったから、やってみようかなと応募しました。

 人生何があるか分からないですよね(笑)

▲5集落から成る当間沢地区(瀬下隊員作成)
▲5集落から成る当間沢地区(瀬下隊員作成)

Q.協力隊1年目は、何をしていいか分からないとよく聞きます。

 瀬下さんはどんな様子でしたか?

 

当間沢地区が協力隊に求めていた役割と活動内容は3つ

①  地域住民との関係性づくり(集落行事参加手伝いなど) 

②  地域外のプレイヤーとのコラボレーション(棚田を中心としたまちづくりと交流) 

③  新しい魅力と発見の活用(土地・空き家など有休資産の調査・整備に向けた取組) 

 

 私は農業はやったことがなかったし、できれば建築士として何かしたいと思っていたんです。それまで都市部のいわゆる“オシャレ”なリノベーションをやっていたけど、古い日本家屋の再生をしたいと。だから③で空き家問題に着手かなって。でも、空き家担当の地域支援員さんもいるし、着任早々「自分のやることないじゃん!」ってなっちゃって(笑)

 でもでも、”皆さんの税金からお給料もらっている”から、まず1年目の目標として、「この地を知る!自分のことを知ってもらう!」にしたんです。

 その第1弾として、顔写真と趣味などを記した挨拶カードを作って1軒1軒集落をまわり全員に挨拶して、毎日毎日歩いて活動集落内をウロウロまわって、お茶飲みして田んぼのことを教えてもらって、集落のおかみさんが貸してくれた『水沢村史』を読破して。とにかく”この場所を知りたいんだー!”という想いでしたね。

 第2弾は、夏くらいから“集落間の情報共有と人と人の交流を深める”ことを目標に、[あてまざわニュース]を作成して隔月で配布したり、自宅の駐車場で“朝カフェ”をしながら通りがかる人たちの話を聞いたり、通り過ぎる車を観察したりして、地域の人たちが何を求めているのか? ここに何が必要なのか?を徹底的にリサーチしたんです。あとは、そこから協力隊として地域の役に立てることが何かを考えました。

 関係性が深まってくると、地域の人たちは、本当は外部との交流を求めていることが見えてきたんですよ。それを解決するための1つとして、農家さん達と任意団体〔あてまざわプロジェクト〕を立ち上げました。「とにかく楽しいことを何かしよう!」と、お気楽にスタートしちゃいましたが(笑)  

▲[あてまざわプロジェクト 春の田舎遊び体験]リピーターの方が仲間と一緒に再訪してくださいました。 
▲[あてまざわプロジェクト 春の田舎遊び体験]リピーターの方が仲間と一緒に再訪してくださいました。 

 [あてまざわプロジェクト]が何かというと、“農家さんたちと都市部の方たちがいっしょに楽しむプロジェクト”。目標は田舎での体験を楽しんだ人がリピーターとして来てくれて、お友だちも紹介してくれて、コミュニティが広がっていって、みんながこの当間沢を大好きになってくれて♪この場所に興味をもってくれる人が増えたら、それが移住促進につながり地域も活性しちゃって、空き家再生で自分も建築士として活躍できちゃうのが野望!! まだまだ先の話だけど(笑)


▲みんなで山菜採りして我が家で農家のおかみさん達と一緒に山菜料理を作り、夕方から交流食事会
▲みんなで山菜採りして我が家で農家のおかみさん達と一緒に山菜料理を作り、夕方から交流食事会

 あと、積極的に道の草刈をしたり普請や総会に参加したり、もちろん集落の飲み会にも参加していますよ。そして目立つ帽子をかぶり、熊鈴つけながら集落を歩いてまわって自己アピールし続けました。自分がやりたいことよりも、“まず地域を知って自分のことも知ってもらう!” “この場所を大好きになる!”を優先、とにかくおもしろがった1年目でした。





Q.そのような中で、地域に溶け込むために工夫したことがあると聞きました。

 それは、お菓子作りをはじめたこと!

 地域の皆さん、野菜をたくさん作っているし山菜はたくさん採るし、それを何人もの人から頂いて、みんな「お返しはいらない」って言ってくれるけど、そういうわけにはいかないでしょ?

 集落でお茶飲みしていると煮物とか漬物とか出してくれるんだけど、結構みんな甘いお菓子も好きなんだなって分かってきたんですよ。頂いた野菜や山菜を使ってクッキーやケーキを焼いてお礼にあげていたら、思っていたよりも喜んでくれて。で、調子に乗ってみんなに配り歩いていたら「もう1枚くんねかね」と言われるようにまでなっちゃいました(笑) 

 神奈川にいた頃は仕事が忙しくて料理するヒマもなく、お菓子なんて作ったのは中学生以来だから、はじめは下手だったけど手作りクッキーが珍しかったのか、みんな喜んでくれて嬉しかったな~。

▲自宅駐車場での外カフェの様子
▲自宅駐車場での外カフェの様子
▲いただいたカボチャで作ったカボチャクッキー
▲いただいたカボチャで作ったカボチャクッキー
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▲インタビューの際に用意してくださったカップケーキとクラフトコーラ。

ふわっふわでやさしい甘さのケーキに、ジンジャーの効いたクラフトコーラが絶品でした!


Q.その後、協力隊としてどんなことをしていますか?

●各集落共同作業手伝い:普請、祭り、総会

●水沢棚田協議会活動 :棚田みらい応援団支援、古民家再生

●[あてまざわプロジェクト]:田舎体験の提供を通じた都市部と地域のコミュニティづくり

●「あてまざわニュース」:集落間の情報共有・発信のためのかわら版作成

●もよりの会:当間沢の各集落全体の交流会主催

●水沢地区の手伝い :雪祭り、市民センター祭り、魚つかみイベント、芸術祭手伝い等

 でも、上記のことに仕事は限定せず、依頼があれば世話人さんに相談しながら進めていっている感じかな。声がかかったことについては、基本的に断らないで何でもやってみる!って決めているので(笑)

▲雪まつりのための雪像づくり 
▲雪まつりのための雪像づくり 
▲棚田みらい応援団の一幕
▲棚田みらい応援団の一幕
▲ご縁がつながり建築士の仕事として手掛けた 水沢地域の築150年の古民家「雪の家」の再生 
▲ご縁がつながり建築士の仕事として手掛けた 水沢地域の築150年の古民家「雪の家」の再生 
▲雪の家(ゆきのや)
▲雪の家(ゆきのや)

Q.協力隊になってみてどうですか?

 思ったよりおもしろい!

 協力隊のことはもともと知らなかったし、実はあまり期待していなかったんですよ。でも、こっちの人たちはとにかく話がおもしろい。だから、仕事と関係なくみんなと仲よくなってきて、関係性も随分と濃くなってきたかな? それに、自分の好きな発想で仕事ができる。責任はあるけど。

 そして何より、母の故郷に近い場所で母を過ごさせてあげることができたのが自分にとっては一番よかったですね。先日母が来た時も、棚田みらい応援団の田植え作業に参加して集落のみんなと楽しそうに笑ってくれている! そんな姿を見ることができてすごく嬉しかったです。

 こうやって、自分の人生を、”笑顔”と“好き”がいっぱいになる暮らしができる。だから、協力隊になってよかったです。

▲母と一緒に
▲母と一緒に

Q.活動するにあたって大切にしていることはありますか?

 自分のことを後回しにしていることかな?

 もともと建築士の時も、お客さんの「〇〇したい」という要望を形にする仕事だったから、今も地域の皆さんの「〇〇したい」「〇〇で困っている」という要望や相談から、解決策を考えるのがすごく楽しい。

 〔あてまざわプロジェクト〕も外カフェもそう。自分がやりたいことよりも、地域が求めていることを形にしていくことを優先している。だって協力隊だもん。地域を興すことが使命なんだから!

 でも一番大切にしているのは、やっぱり”自分がワクワク楽しむ、この場所を大好きになる!” っていう気持ちかな(笑)

▲雪の棚田でも楽しく外カフェ開催中 
▲雪の棚田でも楽しく外カフェ開催中 
 ▲残雪の美しい棚田をガイド中
 ▲残雪の美しい棚田をガイド中

Q.退任後はどのような予定ですか?

 やりたいことは3つあって、 

①拠点カフェ兼情報発信拠点 

②地域のガイド 

③古民家再生専門の建築士 

 地域の人たちの交流拠点となるカフェをやりつつ、水沢には実は観光案内所がないから情報発信拠点。そして、古い建物を次世代へと繋げる建築士の仕事をします。

そして、母もいっしょに生活できるようにマルチに仕事をこなせるのが理想ですね。

▲協力隊のインターン研修制度を利用して研修。  田舎移住の先輩 柏崎市の<EALY CAFÉ>にて
▲協力隊のインターン研修制度を利用して研修。  田舎移住の先輩 柏崎市の<EALY CA>にて
▲交流拠点のカフェにむけて集落のおかみさんと一緒に食品衛生責任者を取得しました。
▲交流拠点のカフェにむけて集落のおかみさんと一緒に食品衛生責任者を取得しました。

Q.協力隊になることを考えている人たちに伝えたいことは?

 何となく“田舎のほうが生きやすいかも”と幻想を抱いている人って多いと思うけど、コ ミュニケーションは田舎のほうがはるかに難しい。だから、ハングリー精神で挑戦してほしいと思います!大丈夫、協力隊に失敗はありませんから。いろいろなことに挑戦させてもらえますよ。

▲農業はやるつもりがなかったのに、田んぼ作業を楽しんじゃっています♪
▲農業はやるつもりがなかったのに、田んぼ作業を楽しんじゃっています♪

 笑顔を大事にしているお話上手な瀬下さん。インタビュー中も終始笑顔が絶えず、しかも手作りケーキ&クラフトコーラで、たくさんの元気をもらいました。そして、インタビュー中には語られなかったであろうさまざまな紆余曲折を経て現在に至った瀬下さんからは、太陽のように輝くあたたかい優しさとしなやかな強さが溢れていました。

 30年近く続けていた仕事を辞めて知らない土地に来るのは、とても勇気の要ること。でも、その一歩を踏み出して手に入れた今の生活を「”笑顔”と”好き”でいっぱいの暮らし」にできたのは、とても素晴らしいと思いました。

 「自分のことは後回し」という仕事の仕方は、一見すると自分の人生を犠牲にしているように思われがちですが、定住するという将来を見据えた関係性づくりと、何よりも“密着型の地域おこし協力隊”としての本分を全うしようという働き方の表れにほかならいもの。地域のニーズをくみ取りながら地域をおこしていく方法を、地域の皆さんと考えて形にしていくのは、一朝一夕にできることではありません。お菓子作りやコミュニケーションという地道な努力を日々積み重ねて地域の方々と強固な信頼関係を構築している瀬下さんだからこそ、ご自身の夢も叶えながら、たくさんの人に囲まれて充実した”笑顔”と”好き”でいっぱいの協力隊生活を送れているのだなと感じました。

 

 以上、新たな人生のステージを幕開けした瀬下さんの紹介でした!

 

十日町市では、里山で活躍する協力隊を募集しています。

・地域おこし協力隊に興味がある

・里山暮らしをしてみたい

・​十日町がどんなところか知りたい

・人と関わることが好き

1つでも当てはまった方、お気軽にお問合せください


瀬下さんの活動している水沢・当間沢地区のHPはこちら!!


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